2018年6月15日金曜日

管理組合理事になったらこれだけは理解したい帳簿のこと


管理組合の会計


管理組合の会計は、家計簿のような「現金主義」を採用しています。「現金主義」は決められた予算の中で現金を支出するため、予算をまとめやすく、現金の動きが分かりやすい仕組みです。

一方で管理組合が今まで整備してきた資産や運営のコストがどのくらいかかっているのかという情報がわかりにくい面もあります。

標準管理規約では、会計帳簿類の全般的調査権限は監事にあり、それと同じ権限が組合員にはありません。相応の具体的理由があるときに限り閲覧が認められています。その理由とは?


目次


一方で「予算主義」ということばがあります。これは「予算制度」のことで、会計年度における一切の収入及び支出を、すべて歳入歳出予算に計上しなければならないとする原則のことです。

「現金主義」は「会計制度」概念の一つで、収益と費用を現金の受け渡しの時点で認識する会計原則を指します。 現金の受け渡し時期にかかわらず取引の確定時点で収益と費用を認識する発生主義とは反対の概念である。

そのため、全ての資産・負債情報なども把握できる「発生主義」の考え方が導入され、資産・負債などの状況や、運営コストがどれくらいかかっているかなどを示した4つの財務諸表を作成し、毎年公表しています。

ここでは、一般会計と全ての特別会計を合算した全体の財務状況がわかる「財務書類4表」のうち、貸借対照表と運営コスト計算書の概要をお知らせします。

貸借対照表

管理組合がどれほどの資産を保有し、債務を負っているかのバランスを明らかにしたもので、管理組合の資産をどのような財源(負債や純資産)で築いてきたのかがわかります。

表の左側にこれまで取得してきた土地や建物・預金などの「資産」を、右側にその資産を形成したことによる将来世代への負担である「負債」と、これまでの世代が既に負担した「純資産」を表しています。

なお、未収金の場合、1年以内のものは「流動資産」、長期のものは「固定資産」として資産の部に入れます。

平成27年度一般会計貸借対照表

資産の部   負債・財産の部

項 目金 額H26年度項 目金 額H26年度



前受け金67,20077700

00



11.406.61413.757.548正味財産321,688.21320,957,048

307,000,000307,000,000



3,348,800277,200

321,755,414321,034,748321,755,414321,034,748

資産=負債+資本(正味財産)



資産の部負債の部
流動資産
現金預金
流動負債
1年以内償還金
国債
(基金、積立金など)
その他
未収入金
固定負債
退職給付引当金
合計その他
固定資産
有形固定資産
(土地、建物)
合計
無形固定資産
(ソフトなど)
負債合計
その他
(投資など)
純資産の部
合計純資産
資産合計負債・純資産合計

国債の利回りって?

利付国債について、支払われる利子の大きさを示すものが「表面利率」です。これは償還まで変わりません。

例えば、額面金額1億円で、満期まで持てば1億110万円になる10年物国債があります。金利は1年間で11万円となり表面利率(年間)は0.25%となります。(2022/10)

これに対し、「利回り」は、1年間の運用益を表したもので、市場における国債価格の変動を受けます。例えば、額面金額1億円で「表面利率」0.25%の10年物国債を1億100万円で購入すれば10万円の儲けを得られます。1億100万円に対して年間1万円の儲けとなり、「利回り」は約、



2.家計に例えると

  1. 流動資産 定期預金、積立保険金
  2. 固定資産 家、家具、車など
  3. 負債   まだ払い終わっていないローン残高、将来かかる子どもの進学費用など


組合員一人当たりの貸借対照表

上記貸借対照表の値を組合員806人で割ったもの。組合員一人当たりの資産は約40万円、負債は約8円、純資産は約40万円になります。

運営コスト計算書

コストには「人にかかるコスト」や「物にかかるコスト」など性質別に集計したものと、運営サービスの目的別に集計したものがあります。

区分金額
人にかかるコスト
(人経費など)
¥895,600
物にかかるコスト
(委託料、維持管理費、消耗品など)
¥25,450,000
その他業務にかかるコスト
(回収不能未収金など)
¥0
経常費用¥26,345,600
災害復旧事業費など
臨時損失
資産売却益など
臨時利益
純運営コスト¥26,345,600


家計に例えてみると

  1. 人にかかるコスト 食費など
  2. 物にかかるコスト 水道光熱費、日用品、旅費など
  3. その他業務にかかるコスト 借金の金利など


組合員1人あたりに使ったお金 32,280円

人にかかったコスト      1,110円

物にかかったコスト      31,600円


一番頭が痛いのは滞納の問題です。
回収するには、まず請求や督促をした後で、訴訟や支払督促などの法的措置を考えます。

3.用語の解説

資産の部 汚水施設の会計上の価値のほか、出資金や預金など、これまで積み上げてきた金額

負債の部 借入金の残高や退職手当の引当金など、将来の世代が負担しなければならない金額

純資産の部 資産の内、税金などで形成され、これまでの世代が負担した金額

流動資産 現金預金や基金(修繕積立基金、修繕費)、1年以内に償還や決済が行われる貸付金や未収金などの債権など。

固定資産 施設など長期間にわたり使用される資産や、流動資産に含まれない債権、特定の目的で積み立てた基金、出資金など。

流動負債 借入金の内、1年以内に償還予定の金額や、短期的に決済する必要がある債務、賞与等引当金など。

人にかかるコスト 理事、選挙管理委員、事務員報酬の他に賞与等引当金や退職手当引当金の繰入額

物にかかるコスト 外部の業者への委託料、施設などの維持管理費、減価償却費などの総額

その他業務にかかるコスト 借金の支払い利息や回収不能となった管理費などの見込み額の総額

純運営コスト 1年間にかかった運営コストの総額(経常費用と臨時損失の合計から経常収益と臨時利益を差し引いた額

総会の資料

「会議費」前年より増えていませんか?何の費用かわかりますか?

管理規約に閲覧の規定がありますか?

「理事長は、会計帳簿、什器備品台帳、組合員名簿およびその他の帳票類を作成して保管し、組合員または利害関係人の理由を付した書面による請求があったときは、これらを閲覧させなければならない」とあります。

その他の帳票類とは?

領収書、請求書、管理委託契約書、修繕工事請負契約書などです。

監事と同じようにすべての会計帳簿類や資料を閲覧できますか?

監事は管理組合の経理の執行及び財産の状況を監査し、その結果を総会に報告しなければならないとされています。

会計帳簿類の全般的調査権限は監事にあり、組合員にそれと同じ権限があるわけではありません。相応の具体的理由があるときに限り閲覧が認められます。

閲覧請求自体は、管理組合の業務や会計に問題があるか確かめるためのものです。管理費の支出が適正にされているか疑問がある場合、閲覧請求の理由になります。

これらの支出に関し、総勘定元帳、現金出納帳、預金通帳、支出を裏付ける領収証、請求書等の閲覧が認められます。

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