2018年11月12日月曜日

要支援者別に実践的な自主防災会防災訓練(救出・救護班)を確実に実施する。⑮


自主防災会防災訓練(救援・救護班)の写真
自主防災会防災訓練(救援・救護)

要支援者別に細かく対応できる防災計画を住民の知恵などを取り入れてつくり、確実に実施できるよう日常的に点検・強化してゆくことが重要です。
また、子ども対象に、「地震が起きたら、どうやって家族を捜す?」などの具体的な問いを投げかけ、それぞれのメリット・デメリットに気づいてもらうようにします。正解はありません。

 

目次

1.私の町内での防災訓練

防災訓練

  1. 各区ごと指定された第1次避難場所に集まる。(約7~8人程度)
  2. 指定時間になれば第2次避難場所(大公園)に集まる。(今年は約200人)
  3. 市消防署員(約7~8人)による、AED、消火器実射、煙体験、アルファ米炊き出し、こどもには消防車(おもちゃ)乗車体験など。(起震車は予約制のため空いてない場合がほとんど)
訓練内容は自主防災組織を立ち上げた頃(10数年前)から変わっていません。ほとんどが役(組長)で占められます。10年に1回ならこういう訓練も初めての住民にはよいでしょう。

しかし、私のように好き好んで毎年参加していると、「今年は何か訓練に発展しているものはないか?」と期待したくなるものです。今年は参加者に「水を運ぶためのグッズ」が配られました。

これは私がことあるごとに提案したからだと思います。というのは、防災訓練の案内チラシには、「地震だ!電気、ガスはとまった、さあどうする?」というキャッチコピーで前年踏襲なのですね。10年前から変わっていないのです。

要支援者をおいてけぼりで避難するって?

第1次避難場所(公園)に集まってくる人は「そこまで歩いて来れる元気な人」です。地震や火事で家に取り残されているかも知れない病人や高齢者をそのままにして避難場所へ行く訓練なんておかしいですよね。

要支援者を助けに行くことが最優先です。火を消さずにそのまま避難所にゆくのですか?誰が火を消すのですか?それをやらない訓練なんて訓練に値しないです。防災訓練=避難所へ行く、と何の疑いもなく住民は頭に刷り込まれていませんか?

第一次避難場所に集合したら

  1. 各組長は組内の住民に声掛けする。無事であれば玄関に「タオル」のようなものを掛けておく。
  2. 屋内で家具の下敷きになっているかもしれない場合、各組の住民で助ける。ジャッキや丸太等で持ち上げる。
  3. 要支援者の家庭に助けにゆく。

防災集会で提案

「電気・ガスの前に『水道』がとまるんですよ。水が一番肝心なのです。トイレだけは我慢できない、薬も飲めない、粉ミルクをあげられない。まず水の確保です」
  1. 貯水タンク敷地にある蛇口を水道局と交渉して使えるようにする。
  2. 運搬するには灯油タンクのような入れ物やバケツでは思い。10㍑入りの折り畳みグッズを購入すべきだ。
と提案したことが取り上げられたのですね。炊き出し訓練も水道から水をでることを前提にしていることに、誰も違和感を感じなかったのでしょうか?


2.命を救う救急搬送

救急搬送

津市長コラム(平成28年12月1日)(要旨)

救急車内での処置と医療機関への搬送は命に直結します。津市では救急車に心電図を搬送先の病院に伝送するシステムを導入。三重大、中央医療センター、永井病院が循環器の輪番体制です。

死亡原因は心疾患が第2位で、多くが心筋梗塞。血管が詰まり心臓の筋肉が急速に壊死していきます。発症から血流再開までの時開か生死に直結するので12誘導心電図データを救急車側と病院側で共有、重症化の防止と救命率の向上につながっています。

深夜でも緊急開腹手術ができる体制も三重大、中央医療センター、遠山、永井病院が専門医師を確保、当番の二次救急病院をバックアップ。虫垂炎や消化管穿孔など救急車は開腹手術ができる病院へ搬送。医療機関が休診で救急搬送 が増加する土曜午後からの時間帯(14時~22時) にも遠山、武内、吉田クリニッ ク、榊原温泉病院ご協力の輪番体制。

救急救命処置も救急救命上が医師の指示のもと、糖尿病など低血糖による意識障害にはブドウ糖溶液を投与し、心肺停止前の静脈路の確保や輸液。搬送途中に意識が改善、後遺症なく退院が数多い。三重大救命救急センターに医師が同乗して出動する救急ワークステーションを開始。以上、引用終わり


3.AEDはすぐ使えてこそ(こんな時どうする?)

AED

地域の公園で会員が心臓発作で倒れた。平日の夕方4時ごろ、場所は公園のグラウンドだ。集会所に自動体外式除細動器(AED)があることを知っていたので取りに走った。しかし、鍵がかかっていて中に入れなかった。

公園は地域のスポーツ団体が利用することも多く、毎日のように各地域の団体がグラウンドゴルフをやっている。だが、夜間はもちろんのこと昼間でも閉まっている場所にあっては、いざというとき役に立たない。

救命のカギは素早く対処すること

心停止になってから5分以内に心肺蘇生を開始し、10分以内にAEDを使った場合で37%の人が助かっています。救急車が駆け付ける時間は平均8分。救急隊が到着する前に、その場に居合わせた人が、ためらうことなくAEDを使う勇気が多くの人の命を救うことになります。

突然の心停止の多くは心室細動という、心臓がけいれんし、乱れた動きになる不整脈が原因といわれています。血液を送る心臓のポンプ機能が失われます。AEDは心臓に電気ショックを与えて、心臓本来のリズムを回復させることができます。

心室細動を放置すると、心臓が完全に止まった心停止の状態になり、電気ショックに反応しなくなります。心停止の時には胸骨圧迫による心肺蘇生を続けます。

AEDは駅や病院、学校などの公共施設、交番・ホテル・スーパーなど。最近はコンビニでも置いているところがあります。スマホのアプリで設置場所を探すこともできます。普段からAEDがどこにあるか知っておくとよい。

倒れた人を発見した時

    1. 周りの安全を確認。救助に当たる人が2次災害に遭うことを避けるためです。倒れている人の肩を軽くたたきながら「わかりますか」と声を掛けます。反応がないときにはすぐ助けを呼びます。手分けして119番通報、AEDの用意、倒れている人の対処をします。
    2. 対処では、呼吸を確認。10秒以内に胸と腹の動きを見て、普段どうりの呼吸をしているかを見ます。呼吸がないときや判断に迷うときは胸骨圧迫をします。両手を重ねて倒れている人の胸の真ん中を約5cm沈む古来の強さで1分間に100~120回のテンポで押します。
    3. ついで人工呼吸を2回。人工呼吸用のマウスピースがない場合、人工呼吸はせず、胸骨圧迫だけでも十分効果があります。AEDが届くまで続けます。

    糖尿病でも意識不明になって倒れる場合がある!

    イヤミの「シェー!」のポーズイラスト
    イマミ「シェー!」のポーズ

    1. 患者を「イヤミの『しぇー!』のポーズ(仰向けに倒れている)にさせる。
    2. 右足を曲げて立て、左腕をあごの下に回し、右腕は上にまっすぐ伸ばす。
    3. 救助者は患者の右側に回り、両手で患者を横向きにさせる。
    4. こうすることで患者の口から嘔吐物が出る(患者の左手の甲を伝わり落ちる)
    5. 嘔吐物を吐き出させてから甘いもの(飴玉など)を食べると回復する。

      4.AED の使い方

      1. 電源を入れます。ふたを開けると電源が入る機会もあります。機械の音声案内に従って作業をすればいいので、実は簡単なのです。
      2. 倒れている人の衣服を開き、胸をはだけます。皮膚が汗や水で濡れている場合は水分をふき取ります。貼り薬などははがします。これは電気ショックが十分に心臓へ伝わらないことがあるからです。電極パッドを右胸の上と左わき腹に貼ります。
      3. 機械が自動的に心電図解析し、電気ショックが必要かどうかを判定します。解析中は倒れている人に触れてはいけません。電気ショックが必要だと判定したら「除細動が必要です」などという音声案内が出て、充電が始まります。周りの人は、倒れている人から離れます。安全を確認して電気ショックのボタンを押します。
      4. 電気ショック完了後「胸骨圧迫を再開してください」という音声がでますので、すぐに胸骨圧迫を行います。普段通りの呼吸が戻るか、なんらかの反応があるまで心肺蘇生を続け、救急隊が到着したら引き継ぎます。
      ※乳幼児の場合のAEDのパッドは、1枚は胸に、もう1枚は背中に貼ります。
      (東京防災救急協会・救急指導課:寺井麻美さん)

      AED開閉

      盗難の心配や予算の問題があるかもしれないが、グラウンドに置くことも検討できないだろうか。鍵開錠ボックス等設置できないものか。

      本体を収納するボックスは 人命救助の為にいつでもだれても使用できるようにしておかなければならないので、カギなどは当然かかっていません。

      そのため、イタズラや盗難に対してボックスを開けると大音量(100db)のブザーが鳴るようになっています。AEDはすぐに使うことができて初めて、かけがえのない命を救う宝となる。

      成人の突然の心停止の多くは心室細動によって引き起こされる。大人だけでなく小・中・高での心停止も年間100件以上あるといわれています。

      消防庁によると、2013年に一般市民に目撃され、心臓が原因で心肺停止状態になった25,000人余りのうち、市民によって心肺蘇生が実施されたのは12,000人(51%)、そのうち、1割の役1400人が1か月後に日常生活に戻れた。

      実施されなかった約12,000人で日常生活に戻れたのは約600人(5%)にとどまる。1分間に100~120回の範囲で処置を受けた人が最も救命率が高い。

      人工呼吸については訓練を受けていないと難しいうえ、胸骨圧迫の中断が長くなるため、「技術と意思がある人」に限定。ただ、子どもについては「人工呼吸を組み合わせた心肺蘇生が望ましい。

      何もせずにAEDが1分遅れると救命率が10%下がるともいわれ、利用率の向上が課題です。実施する人は年々増えていますが、まだまだ救える命はあります。

      うまく救命処置ができななければ責任を問われるとの懸念からためらうこともありうる。善意による処置の結果責任は問わないという理解が重要。救命処置は「善」という周知がもっと進んでほしい。

      結局は、一人ひとりが想像力を働かせて、それぞれの現場で課題解決の行動を起こすしかありません。

      災害発生時、要支援者への支援の仕組みと災害弱者(障害者、一人暮らしの高齢者、病人など)への支援体制づくりが重要です。

      しかし、その時「支援」する仕組みよりも先に、「家の耐震補強」「家の中の家具や電化製品の固定」をしておくことが重要です。

      問題は、資金がない、体力がない人たちに今から手を差し伸べておく事前対策です。自主防災組織の使命と活動はそこにあることを住民に認識してもらうことです。

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