2021年3月18日木曜日

管理組合として不明水を調べて、その原因を突き止め改善するには改築と修繕が必要

雨どいが汚水桝に誤接続

不明水とは「雨天時侵入水」、「地下水侵入水」、「その他不明水」の総和です。

不明水を特定するには、雨天時と晴天時に区分けし、汚水管路に流入する不明水量を流量測定やポンプ場・処理場の運転データ収集などから把握します。

さらに、下水道経営においては、雨天時における増水と晴天時における無収水量の増加による維持管理費のコストアップが問題となっています。


管理組合として不明水を調べて、その原因を突き止め改善するには


目次


1.背景

不明水対策は、原因および発生源の特定が容易でありません。対策・投資に対して効果が表れにくいので、中・長期的な視点に立った計画的かつ総合的な対策を立てることが必要です。

雨天時侵入水は、分流式下水道において汚水管きょへの誤接合や雨水排水設備の誤接合等が原因で、雨天時に侵入する不明水や降雨が地下に浸透した後に短時間で汚水管きょに侵入する不明水であり、雨の降り方によって流入下水量が変化します。

ほとんどの処理場で確認されており、雨水混入比が2倍以上を超える所も半数以上あります。

不明水対策には、多大な時間、労力、費用を要する割に、実施しても期待したほど不明水量が減少しないなど、投資効果が表れにくいので、多くの自治体では抜本的な解決に至っていません。

不明水とは、流入下水量のうち、下水道料金以外の下水量です。


2.不明水調査の手順

不明水の概略実態把握

雨天時と晴天時における流量パターンの比較、地下水の変動と流量パターンの比較等の分析を行います。

効率的に不明水対策を実施するためには、費用便益比の高い区域からが重要です。施工年度等を考慮します。

誤接続調査では、分流式下水道における宅内排水設備の雨水、汚水系統が正しく分離されているかどうか、本管から宅内排水系統までの調査を行います。誤接続には、民地内にある雨水桝から、公共汚水桝、汚水管に接続されている例が多い。

また、屋根部分の流入時間は短いので、汚水管に流入する雨水入水量は短時間に大きな値を示すことが多い。

1.送煙試験

分流式下水道における本管から宅内排水系統の誤接続調査方法(雨水が汚水管へ、汚水が雨水菅へ)の一つであり、誤接続があれば側溝や雨水桝から昇煙し、また、管きょの接手不良や破損があれば道路上のクラックや路肩から昇煙し、地上でその位置を確認することができます。

なお、昇煙個所については、音響試験または染料試験によって排水経路の接続状況について再確認を行います。

2.音響試験

下水道本管からその取り付け菅経路および宅内排水経路を調査する方法で、試験方法には、ハンマー等による打撃音の確認および音波による確認方法があります。

3.染料試験

無害な蛍光染料希釈水を上流より流し、流下経路、漏出経路、流達時間を調査する方法で、補助調査として併用します。

対策フロー

雨天時侵入水に対する対策は、過去の侵入水による事故事例等の調査、施設の調査、モニタリング調査を充分に実施し、雨天時侵入水の実態を的確に把握したうえで立案することが重要です。

対策案による改善効果を流出解析モデル等で定量評価し、改善策の有効性を判断します。

地下水侵入水は、現実的には大規模な地下水侵入水対策を実施しても完全に止水することは不可能であり、費用対効果から妥当な対象範囲の設定や、止水目標の設定が重要です。


改築と修繕

調査・診断により、改築または修繕が必要とされたものについて、「改築」か「修繕」かの事業種別を判定する。さらに「改築」と判定されたものについては「更新」か「改良」かに分類します。

改築は原則的にはマンホール単位の再建設あるいは更生、取り換えとし、修繕は欠陥個所のみの部分的な補強、取り換えです。

したがって、改築か修繕かの事業種別の判定では、診断結果をもとに欠陥個所の範囲・規模がマンホール間全体に及んでいるか、あるは部分的な措置で対処できるかの緊急度を考慮し、かつ経済性等を総合的に評価します。

これらの「標準耐用年数」は、管渠20年、枡15年、取り付け管20年、蓋7年です。

排水設備と公共下水道の侵入水量の比率は、排水設備側が45%、公共下水道側が55%です。
このような対策を行っても、公共下水道で15%、排水設備で21%の侵入水量(合計36%)が、侵入水削減の困難さです。


改築時の不明水対策の推進

不明水は、排水設備の誤接続による雨水の流入、路面等から地下に浸透した雨水や地下水が菅の接手、破損部から侵入します。

排水設備の設置は、指定工事店の選定→計画確認申請→確認通知→工事施工→工事完了届→工事完了検査→検査認証の交付という流れで進められます。

排水設備の誤接続や不良工事を防止するため工事施工段階において指定工事店への施工指導を強化したり、指定工事店に対する説明会において下水道の仕組みや不明水の侵入に関する技術指導を行います。


3月7日の議事提案事項の質疑と回答

Q.帰属が完了する時期の見通しは?

A.何年に完了するのか明確ではないが、順調に手続きが進めば通常5年くらいで完了できる。ただし、反対者や送煙調査を拒否する会員もいるので帰属の見通しが立たない。


そもそも送煙調査をしなければならない根拠が示されていない。

令和元年の総会で、「雨が降ると施設内の水位が上がるので、汚水に雨水が混入しているのは間違いない。施設を守るためにも早急に検査をする必要がある。50年事情経過し老朽化した施設はいつ壊れるかわからないし、壊れた場合は莫大な修理費がかかってしまう」。

正答:多少雨水が混入するのは避けられません。問題は雨水混入比が2倍以上を超える場合でしょう。

誤接続は施工業者の責任であり、業者がわかっておれば改修費用を請求できる。平成14年(2002年)に全戸送煙調査で9件の不良があった。今年令和4年(2022年)だと20年経過したことになります。

令和元年9月22日、帰属にかかる説明および質問と回答で、「通常、不明水として宅地からは50%流入がある」となっています。

私は汚水施設見学会に参加したことがあります。平成22年5月23日でした。その日は前日に大雨が降った翌日でした。残念ながら参加者は私一人でした。理事長の案内で施設に入ったのですが、地下階段まで水が溢れていて「雨水だ」と困った顔をしていました。

いったいいくら増えているのが具体的数字がでていないので何とも言えません。市の調査では、流れ込む原因は、各家庭の「外流し」と「汚水桝」との見方です。市には埋設管の欠損等、原因の究明とその対策を並行して求めてゆきます。

合わせて、会員に対しても「外流し」には雨水が入らないようカバーを、「汚水桝」には蓋を地面より高くするなどの措置を講ずるよう働きかけを強化していきます。

雨天時と晴天時における流量パターンの比較、地下水の変動と流量パターンの比較等の分析を行う必要があります。


機能診断調査

Q.機能診断調査結果を提出したと理事長がいっていたが、市に確認したが未提出であった。早急に発注するべきである。

A.理事長が機能診断調査実施は発注してあるという勘違いが起きてしまいました。

正答:前理事長時代29年9月12日、市公募により「水工社」が機能診断調査を実施し、26年1月中から2月下旬に水工社が市へ最終結果の報告をしています。

市からそれが管理組合に報告されているはずですが、「つまりどことどこが悪いので交換してください」とか言ってきてるはずですが、問題は「我々会員に何も知らせていない」ことです。


排水管誤接続調査の見積

Q.依頼業者3社と見積額を聞きたい。

A.M 21,120円、A 20,790円、Y 18,700円でYに依頼しました。

正答管理会社に見積もりをお願いすると、管理会社は複数の協力業者を抱えているので見積金額を操作し、いちばん安い見積もりになるよう調整します。管理組合で見積先を探し共通条件で見積をお願いします。


Q.排水管誤接続はなぜ起きたのか。機能診断調査実施はできるのか。

A.誤接続は各戸の施工業者の誤った施工により、汚水の排水管(枡)に雨水菅を接続していることがあり、汚水処理機械に大きな負担がかかります。機能診断調査は業者に依頼するので実施することができます。したがって、本年度予算が通れば発注できるようになりました。


平成17年5月4日の組合員への報告書の中で、「管理組合への移行の際には三重県住宅供給公社にすべての雨水菅、汚水管の調査を実施させており、各ご家庭で汚水管に間違って接続されていた雨水菅も、改修工事を各ご家庭の費用負担で行わせていただきました。

雨水菅への流入を防ぐ対策を市下水道課に調査改善策を要望している所でございますので、回答ありしだいご報告させていただく予定となっております」。

令和元年9月1日、「汚水処理施設の市への帰属にかかる説明会のご案内」で、送煙調査を含めた説明会を9月22日・28日・10月2日に行う。帰属への説明は今回が最後となります。説明者(下水道課職員・Y産業職員)

正答:誤接続調査は「組合に任せる」が75%、任せられた組合は、調査費用1.7万円を負担するのはおかしい。誤接→業者の責任→申請許可した津市の責任→組合が負担するのは筋が通らない。

各戸からの雨水侵入は50%ということがわかりました。ならば修繕により不明水がどう減少するのか、という点が重要です。これがなければ汚水桝や管路の修繕をしょうとする意欲がわきません。


排水管調査診断改修順序

  1. 管理組合が汚水桝調査を実施し排水管図面を作成。
  2. 改修すべき個所があれば指摘し、所有者が改修。
  3. 管理組合が点検し、最終図面を作成。
  4. 管理組合が図面を添えて市へ完了報告をする。
  5. 市が図面をもとに最終チェックを行う。
  • 雨水枡の修繕等、改修方法の指導業者の紹介。
  • 宅内の改修工事の折衝は個別対応。
  • 汚水桝調査、図面作成は流入可能性個所を指摘し、排水管図面作成までを管理組合が負担、配管改修費用は所有者の負担。
令和元年10月25日「帰属にかかる説明会概要」では、「配管図面は契約内容に含まれていて各戸を訪問して現場確認や聞き取りをしたうえで、調査前の図面と調査結果の図面を作成し、市に報告することになっている」


管理費2,100円

定時総会の概要報告で、2,100円は帰属を前提にした補助金を受けているので継続できており、帰属しないと決めてしまったならば補助金は受けられないし、施設の再建費用の積み立てもしないといけないので、今の2,100円の倍の4,200円でもまかなえない可能性がある。

27年1月、42㎥以下50%、以上44%でした。1人8㎥、2人16㎥とすると、それぞれ16㎥、32㎥となります。2人以下の家庭は全世帯で70%いるので、ほとんどの家庭が月額2,100円以下になると思われます。


設備改修について市からの指摘事項

すべて改修した場合1千万か2千万で見積。管理組合合計からの支出が基本で、対応できない場合は積立金(3億円)を取り崩す。工事費は3千万を上限に1/3の補助金がでます。

今後のスケジュール(28年12月1日)

  1. 帰属準備期間は、平成25年度から30年度。
  2. 28年12月にアンケート
  3. 29年3月、帰属するか否かの投票
  4. 29年5月、帰属になったら準備作業
  5. 31年3月、市への帰属
指摘された設備改修を5年以内にやれば、その時点で市への帰属が可能になったのに、改修等に手間取り、5年を超えれば、再度機能診断調査を受けることになります。


帰属条件大規模修繕工事を進めるには

  • 事業年度が複数年にまたがるために、運営の継続性が重要。
  • 通常の理事会業務以外に、大規模修繕業務が加わり負担が増える。
  • 専門家(管理会社・工事業者・その他)との折衝、居住者へのきめ細かい対応が必要。
しっかりとした準備態勢を整える。継続的かつ専門的に検討する組織として、理事会の諮問機関である「専門委員会」を結成し、理事会を中心に進めること。

理事会は管理組合の運営を日頃行って、これに修繕にかかわる仕事が加わると通常の理事会とは別に頻繁に会合が必要となり負担。修繕工事は、修繕の方針を立ててから工事が完了するまで複数年の期間が必要。

これに携わる人は途中で交代することなく継続的に関わる必要がある。理事会とは別に独立した継続性のある専門委員会を結成する。

  1. 専門委員会と理事会の関係
  2. 長期修繕計画の作成・見直し
  3. 大規模修繕工事計画の立案
  4. 建物設備の診断調査の企画
  5. 工事費用の概算予測
  6. 施工業者・監理者の選定に関する助言
  7. 住民アンケートの作成と回収後の分析・報告書の作成

理事会の諮問機関として修繕に関してサポートする役割を担う。委員会で検討したことは理事会に報告し、理事会ではこれに基づき検討・決定、必要な事項は総会の決議を求める。

専門委員会(具体的な計画・提案・検討)

理事会・専門委員会から提案を受けた事項の検討・決定

総会(理事会で決定した専門委員会提案を承認)


あとがき

多数の区分所有者がいるので、宅内の工事について立ち会えない場合や、立ち会わない場合が想定されます。

そんな場合は、まず総会で必要箇所への立ち入りについて受忍義務があることを説明します。管理組合が各住戸の排水菅の更新工事を行うことは、区分所有者にとっても利益のあることだからです。

そのうえで、立ち会えない場合は警備保険会社の社員の立ち合いのもとで住戸のカギをあけ工事をする、などの決議をしておきます。

総会後には、各区分所有者に対して、あらかじめ立ち合いの協力を求め、立ち会えない時は、総会で決議した手続きによることを通知しておきます。


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