2018年9月16日日曜日

自主防災訓練は団地の規模や住民の年齢構成に応じて整備・更新し課題を解決するには③

自主防災会訓練の写真
防災訓練(パレットを活用)

訓練のための訓練になっていないでしょうか。

開始時間前にすでに避難先に集まっていないでしょうか?
要援護者名簿への登録を済ませた方から、「何か起こったとき、私のところには誰が来てくれるの?」と聞かれて答えられますか?


目次

1.訓練のための訓練になっていないか

防災訓練


震災を他人ごとのように考えていないでしょうか?
地震が起きてもどうにかなると思って避難訓練にも関心がないってことないですか?
水道がでることを前提に「炊き出し訓練」していないでしょうか?

地震でまず止まるのは「水」です。どうやって何百人もの炊きだしできますか?
風呂やトイレが1ヵ月も使えなくなったことを想像したことありますか?

マニュアルも市が作ったものではあまり意味ありません。団地の規模や住民の年齢構成に応じて整備・更新し、備えてゆくことが重要です。

立つこともできない揺れ、停電した暗闇の中で家具が倒れる音、窓ガラスが割れる音、家族の悲鳴。防災訓練を重ねてもパニックになる人も少なくないでしょう。地震体験車はその車の構造上縦揺れはしません。

公園が避難先に指定されています。雨天にはどうするのか? 「隣の工場を避難先に協力をお願いする」という意見もありますが、会社は1日も早い操業を目指しています。避難所どころではないでしょう。危機感をもってやらないと、いざというとき話になりません。

高齢者をはじめとする支援が必要な人への対応をしっかりと位置づけ、備える防災会の役割が不可欠です。身体の自由が効かなくなった高齢者は避難に時間がかかります。足腰が弱まり、自力で安全な場所に移動できない人も少なくありません。

食料にしてもレストランや旅館はお客様優先。とても避難者を受け入れるところまではいきません。利用できるのは一部の富裕層だけです。病院も行政も、職員自体が被災者ですから無理もいえません。住民がとりあえず1週間を生き延びる手立てを防災会がしておかねばなりません。

食料の備蓄に比べ「水」の重要性が広く認識されていません。地震発生直後に発電機を稼働させ、水道がでるうちに水を確保します。女性たちが集まり、おにぎり、焼きそば、唐揚げ、ピザ、野菜などを並べます。これらの避難訓練が実践に生かせるのです。

地域の実情に応じた防災訓練!
自然災害のサイクルは確実に短くなっています。いつ誰が被災者になっても不思議ではない時代です。いざというときのために地域での防災訓練はかかせません。阪神・淡路や東日本大震災の経験や教訓が活かされていないような気がします。

「動員をかけられて仕方なしに行く」「仕組み・組織を勝手に決められても困る」。住民の言い分を聞いてから決めなければなりません。



図上訓練


町歩き、マップ作り、消火・救命・避難訓練を終えるとタネキレ。もう一段階上の訓練が求められていると思います。儀式化しているように見える今の防災訓練ではなく従来の延長線上ではない訓練が求められています。災害は1つとして同じ事例はないのです。すくなくとも地域に合った訓練をすべきです。

家の片づけやゴミの処理。住まいや生業、心と体のケアなど必要な情報を住民に届けなければなりません。災害を想定した準備や起きてからどう対応すべきか、実際の被害を想定した訓練にしていかなければなりません。

被害想定をした訓練をして、現状の計画、体制、施設設備の実効性を検証することが大事。(津市危機管理部)



2.訓練参加者

防災訓練参加者


  1. 参加者は防災委員と一般50人。少なすぎるし若い人が少ない。
  2. 自治会役員・組長が主体で一般が少ない
  3. 役員の具体的な活動方針が決まっているか?
  4. 防災活動は素人・老人が活動すると2次被災者となってかえって危険。
  5. ノウハウがない。

役員について
  1. 組織運営等の継続性・ノウハウを蓄積する仕組みを作る。
  2. 夏祭り等で炊き出し訓練を兼ねる。
  3. 非常時に安否確認の協力が得られるか?
  4. 防災器材のおき場所
  5. 斉清掃とセットで行う。午前と午後。休日を2日つぶさなくてすむ。
  6. 中学生にはバケツリレー
  7. 水・食料3日間備蓄してないひと20%

こどもと一緒に防災

「自分の命は自分で守る」が原則。

ダンゴムシの姿勢
  1. ぐらりとゆれたら机の下やロッカーなどにとっさに隠れるためにかくれんぼする。頭を抱えてうつぶせになるダンゴムシのような姿勢を取らせ、頭を守ることを教える。
  2. 小さな子どもの手を引っ張って逃げるのは不可能に近いし、手を放してしまうこともあり危ない。年齢が低いうちは抱っこ紐などさっとだかえて逃げられるものを用意。抱っこ紐には名札をつける。名前・連絡先・アレルギーの有無。
コアラさんだっこ
  1. 逃げるとき2人以上いて抱えられないとなったとき、子ども自身にしがみつかせる遊び訓練。背中に一人おんぶして前に抱っこ。子どもをぶら下げた状態でどこまで歩けるか、大人の体力測定。
電車ごっこ
  1. お散歩ロープをしっかり握って、いつものお散歩よりも速いスピードで動く。全員が誰一人脱落することなく協力し合って進む訓練。(8m程度で握りやすいもの)
子ども用マスク
  1. 粉塵が舞うときにはマスクをして逃げる。キッチンペーパーをハサミで切れば作れる。

3.防災無線

防災無線


役所の職員は防災無線の音声を、実際に地域できいたことがありますか?

「防災無線はなに喋っているのかわからん、窓を閉めたらわからん、雨の音で聞こえん」と多くの人が証言しています。防災無線の効果について抜本的にみなすべきじゃないでしょうか。

「非常時に自動的に電源が入る緊急告知ラジオ」が全国100以上の自治体で各戸に配布されています。1台8000円ですが国からの支援で安くなった。室内にいても警報内容などが明瞭に聞き取ることができる優れものです。

防災無線はスピーカーをつけた鉄塔を立てるため莫大な費用がかかります。地域住民ん案全を守るためには現行制度の改革が必要です。サイレンがなってテレビをつけても放送局はのんきな番組を流しているものです。

被害にあったほとんどの家は瓦が飛んでいるものです。がれきをどう処分するかが今後の問題になるでしょう。

とくに子どもは余震を怖がるので、夜だけ避難される方が多いかもしれません。役員用の無料通話アプリ「ライン」のグループを活用して地震被害の状況やけが人の情報などをリアルタイムで共有することが必要です。

99%は一部損壊で公的支援の対象外かもです。市独自に一部損壊住宅を対象にした住宅改修補助制度を創設。耐震機能が低下した住宅の改修に活用できるよう木造住宅耐震改修補助制度を拡充する。借家が被害を受けて退去を求められている人に何の支援制度もないのは問題です。

ハザードマップの作製・周知、避難の仕方を住民に丁寧に説明することが求められています。
防災無線が聞こえにくいことへの対策
自動でスィッチが入る緊急告知ラジオを避難行動要支援者に配布(津市)

緊急時、携帯電話での対応に慣れておく

いつも登録した相手以外に電話したことが無い人が意外に多い。便利な機能に慣らされ、普段使わない機能にお手上げ状態になるかもしれない。
道路に倒れて動けない人がいると119する。「呼吸はしていますか?」「男性ですか女性ですか?」「話はできますか?」「年齢は?」「場所は?」と矢継ぎ早に質問され、たじたじになるかもしれない。

4.災害時要援護者名簿

災害時要援護者


「自助、共助、公助」といわれます。自助が大事といっても個人の努力には限界があります。車いすや認知症の人もいる高齢者施設で、国の基準では職員の数が少なすぎます。今の体制で高齢者を避難させることができるのでしょうか?

災害時に自力で避難することが難しい方への支援が大きな課題です。支援を希望する方は、ご自身の個人情報が記載された名簿が支援関係者に提供されることに同意する必要があります。「要支援者名簿」はH23に完成。

災害から命を守ることは個人情報保護に優先すると法律上明らかにしました。ところが名簿の開示は発災後に限られ、事前に活用するには個人の名簿登載者の同意が必要とされたのです。

津市では、名簿登載拒否の申し出がない限り同意があったものとみなす規定を条例に盛り込みました。対象者の96.5%17251人がリストアップされました。「津市避難行動要支援者名簿」。いざというときの声掛けや安否確認はご近所同士が一番です。

7.「要支援者」の防災は特性に応じ対応

東日本大震災では、障害のある人たちの死亡率が健常者の2倍。災害から障害者の命を守る取り組み。障害者を介護する家族をみても日々の介護生活に追われ「防災」にしっかり向き合うことが難しい状況。避難訓練の参加自体も大変。

要支援者の方々に個別の支援方法を確立してゆかなければなりません。「災害時要支援者」という言葉でひとくくりにされていますが、障害や程度によって支援方法がちがいます。

食物アレルギーのある子
避難所に持ち込まれる食糧は、菓子パン、シソのおにぎり、ペットボトルのお茶等々。卵や小麦のアレルギーのある子は、いずれも食べられない。シソにのおにぎりにも卵や大豆のの成分が含まれている場合があり、お茶にも大麦が含まれていれば食べられない。それでも空腹に耐えかねて口に入れると、命にかかわることもある。

耳の不自由な人
筆談で意思疎通をこころみても文章を読みこなすのが苦手な人が多いのが実情。話し言葉と手話の文章構成が異なるためです。耳の不自由な人は、遠慮してわかったふりをすることがある。表情をよく見て、伝わっているか判断してほしい。

視覚障碍者を避難誘導
2人一組で一方がアイマスクを着け、障害物のある部屋を2人で歩いて誘導。

「要支援者」の防災は、当事者だけでなく地域で考える

避難する時に付き添ってくれる人がいるのか。
どんな手段で避難するのか、できるのかわからない。
区長、民生委員ともあまり面識がない。
ひとりでおしっこができない。
自閉症で知的障害がある。パニックをおこす。ことばも話せない。


地域の方からの情報が無くては消防や警察の救助活動もままなりません。住民の力で町の防災力を高めてゆきましょう。被災者が生活再建できるよう、幅広い救済ができるように、議員さんには国にも市にも働きかけてもらわなければなりません。

地震体験車・地震ザブトン
スクリーンで家具の倒れる様子を見ながら震度7の実際の揺れを再現する。

ゴミの仮置き場の確保と分別の重要性
市による災害廃棄物処理計画の策定ができているか。防災推進国民大会


5.救急搬送体制の確保

救急搬送体制


一人住まいの高齢者は10%。水も食料もない避難所で「持病の薬がない」と訴える被災者を診察する体制が必要。全国から支援に駆け付ける医師や看護師に情報を伝えながら医療活動を指揮する医師は必要。地元の開業医だけで被災直後の医療を確保するのは困難。

呼吸器疾患で酸素吸入装置を使用している人は、停電になると使えない。懐中電灯をもってかけつけ新しいものに交換できるよう援助する必要がある。3人の民生委員だけでは安否確認以上のケアをするのは難しい。

防災訓練での優先順位

水が一番ほしい。一番必要ですが道路の下に埋まっている水道管の継ぎ目が破壊されるので町内でも水の出るところと出ないところがでます。冬ともなれば寒さで給水に並べず、飲み水が無い中ではペットボトルの飲料水は「命の水」になります。

2番目に欲しいのが食料。おにぎりやカップ麺、トイレットペーパーも必備品です。


3番目は、乾電池と情報です。停電すればTVやラジオが聞けません。スマホもガラケーもじき電池切れになります。「今とうなっているのか?津波が来てるのか?他の地域はどんな状況か?」。電池がなければ情報が入ってこないのです。

猛暑の下、土ぼこりチリの中での復旧作業。健康被害がでます。アレルギー結膜炎、汗がでてアトピー性皮膚炎、軽い熱中症で点滴。涼しくなったからといって楽ではありません。朝晩の冷えは体にこたえます。肺炎にでもなったら命に関わります。実際、2次災害で亡くなる人のなんと多いことか。

大阪北部地震では、市役所には罹災証明書の申請、被災者支援総合窓口、住宅相談会場に多くの市民が訪れました。「どこに修理を頼めばいいか」「補助はあるのか」という相談が多いのです。


6.自主防災会の「情報班」の仕事

情報班


避難所、給水場所、営業しているガソリンスタンドなどの情報をきめ細かく伝え続けらればなりません。災害時には噂が噂を呼ぶ「デマ」が流れやすいものです。関東大震災で朝鮮人が数千人も虐殺された例があります。デマを防ぐためにも「情報班」の役割は重要です。

「家の前が通学路で屋根のブルーシートが風であおられてはずれてしまわないか心配で気が休まらない」「瓦が飛んで雨がもり、業者に頼んでも順番待ち」「シートを掛けてもらうだけでべらぼうな料金を請求された」といいます。

家屋の改築や補修などに要する経費の補助は、それまでの国の制度では、半壊以上の住宅の解体費用には充てることができるが、後に残る個人の財産に公の資金を入れることはできませんでした。

新築・改築の費用はだめ、解体でなければだめというのです。国はすぐ経費の拡大を恐れてしまうのです。全国で一斉に同じ災害が起こったら予算がなくなって困る、というような発想をしてしまうのでしょうか?

「ペット」同行避難

  1. ケージに入ることを嫌がらないように慣らす
  2. 人や他の動物を怖がらないように慣らす
  3. ペットフードやトイレ用品などペット用避難用品の確保
  4. 決められた場所で排泄するなどのしつけ
  5. 避難所がペット受け入れ可能か把握
  6. 親戚や友人に一時預かり
  7. 各種ワクチン接種や寄生虫の駆除

ソーラークッキング研究家(西川豊子さん)


防災キャンプ

楽しみながら防災について学ぶ
  1. 避難所となる学校に子どもたちが実際に泊まり、避難体験
  2. 体育館に段ボールや寝袋を敷いて一晩泊まり、炊き出しの体験
  3. 暗い校舎内を懐中電灯の光を頼りに歩く「夜の学校探検」
自助バッグづくり(災害時に必要なものを備えておく袋)
  1. 水、食料品、携帯トイレ、応急セット
  2. 好きなぬいぐるみ、漫画、手紙・写真(つらい時に見て元気がでるもの)

7.外国人に災害情報

外国人


小学3年生レベルの能力のある外国人向け。「通れないことはない」のような2重否定は避け、可能表現は「られる」ではなく「〇〇することができる」に変える。→「通ることができます」

「めちゃめちゃ」「どきどき」「どんどん」「がしゃん」などは日本語話者以外には伝わりにくい。災害時でも外国人の尊厳を守り、命と最低限の生活を保障する情報を迅速に伝えられることがが「やさしい日本語」です。弘前大学;佐藤和之教授
わかりやすく的確に伝えるための「日本語」いいかえリスト
普通の日本語→やさしい日本語
暖かくする→服をたくさん着る
安否確認→だいじょうぶか聞く
生き埋め→壊れた建物の下にいて動けない人
医療→医者が病気・ケガを治すこと
引火→火が付く
迂回する→違う道を行く
(電車は)運転を見合わせる→(電車は)来ない
応急措置→簡単な手当
片側通行→道の片方だけ通ることができる。
紙食器→紙の皿など
救急車→病気・ケガをした人を助ける車
救水車の出動→水を配ばる車が来る
緊急時→とても危ない時
妨げ→じゃま
持病の薬→いつものんでいる薬
重体→命が危ない
食糧配給→食べ物をもらうことができる
炊き出し→暖かい 食べ物を 作って 配る
垂れ下がった電線→切れた電線
断水→水道を使うことができない
電話がかかりにくい→電話が混んでいる
問い合わせる→質問する
徒歩で→歩いて
避難所→逃げるところ
火の始末をする→火を消す
行方不明→どこにいるかわからない人
余震→後から来る地震



    0 件のコメント:

    コメントを投稿

    猿蓑温泉(さるびの温泉)は伊賀上野市大山田に開設された比較的新しい温泉です

      さるびの温泉 は、深い山の奥の開けた場所にあります。 東は、津から40分、西は伊賀上野から20分くらいで、意外と身近に感じられる場所にあるのですね。                                                        CONTENTS...