2018年11月2日金曜日

防災・減災につながる地域の実態に応じた何種類かのハザードマップの活かし方⑪

津市ハザードマップの図
南海トラフ大地震で浸水予測ハザードマップ

南海トラフ巨大地震の津波浸水予測(最大)(青50cm、緑1m、黄3m)
津市役所付近は津波によって50cm~3m近く浸水すると予測されています。西日本豪雨で小田川とその支流が決壊しました。真備市が洪水時に想定される浸水域とハザードマップがほぼ重なりました。ハザードマップは「仮定」です。現地を歩き実態体験しておきましょう。


目次


災害が起こる可能性を探るには、土地の歴史を知ることが役立ちます。昔の地図と現在の地図を照らし合わせて地形を見ると、どこでどういう災害が起こるか予想できます。埋め立てて住宅地になった現在の街並みだけをみても想像がつきません。

1.ハザードマップとは?

ハザードマップ


ハザードマップは、「水害、震災、火山災害などに対し、被害の及ぶ恐れのある範囲や避難施設などを表現した地図」です。自治体が地域住民用につくります。地域の実態に応じて何種類かのハザードマップが作られています。

津市のハザードマップ
地震防災マップ(西郊地域)
三重県内詳細活断層図
津波予測
津市沿岸地域標高マップ
洪水ハザードマップ
土砂災害ハザードマップ
ため池ハザードマップ(佐倉池)

ハザードマップには、洪水や高潮の水害時に何が起こるか、どういう避難行動をとったらいいかいいかをわかりやすく書いた冊子がセットになっています。


ハザードマップには多くの問題があります。仮定のもとに作られているからです。その前提条件が違えば「想定外」になってしまいます。東日本大震災を福島県や東京電力は想定してなかったのでしょうか?地図の見やすさも問題ありです。

避難しなければならないとき、ハザードマップを見ながら避難所に向かうなんてできないでしょう。そうではなくて普段からマップを見ながら現地を歩き、あるいは車で走行し、地域の実態を体感しておくことです。

「防災・減災につながるハザードマップの活かし方」岩波書店一読おすすめ。

事前の備えと改善策を考えてみます。

「熊本地震のようなものはここにはこないだろう」とよそ事のように考えている住民は多いと思います。熊本の人も地震がくるまではそうだったと思います。南海トラフ大地震は必ず来ます。来たらどうなるか?

2.ハザードマップを生かす

ハザードマップを生かす


南海トラフ大地震による津市の津波の浸水予測では、市庁舎は使えなくなり(停電で電車は動かず車も運転できない)行政は機能不全に陥ります。職員は各避難所へ向かうことができず避難所には職員は一人もいないかもしれません。

津市は「津=港」を意味します。マップを住民の避難にどう結びつけるかという課題があります。国道23号線、バイパスを車で走っているとき津波に遭遇したら「白い地域」に向かいます。「安濃川」より北なら栗真・観音寺、南なら半田です。確かに小高い丘です。

不幸にも車が渋滞して動けなくなったら、「津市津波非難指定ビル」へ駆け込みましょう。車が流されても命のほうが大事です。

明治以降最大とされる死者・行方不明者5098人を出した伊勢湾台風は高潮による被害でした。9月26日夕方に紀伊半島に上陸し、名古屋市で最高潮位1mを超える高潮が押し寄せ、貯水場から押し寄せた流木が被害を更に拡大させました。

悲劇を繰り返さないために、情報伝達や避難の仕組みの点検と見直し、まちづくりのありかたなど、知恵と力を集めてゆくことが求められます。

自主防災会独自の安否確認システムを開発


住民にいち早く情報を知らせ、危険を察知してもらおうとすると、固定電話で連絡するしかありません。停電で通じなかったらお手上げです。地震発生で緊急避難通報が市から発信されると、登録者に安否を呼びかける防災メールを自動的に送信されるようにしなければなりません。

水害の場合、土地が高いのか低いのかがわかれめになります。当地にいる限り津波の心配がないのですが、浸水予測エリアに出かけている住民は少なくないです。高台にいても地震に起因する火災の危険をしらせる必要があるので、市より早く非難準備情報を出します。高齢者もアクセスしやすいようQRコードつきのカードを配布しておきます。

災害時に自分の居場所などを入力してもらい、独り暮らしの高齢者や要支援の必要な人が一目でわかるようにします。事前に高齢者向けにシステムの使い方を教える勉強会も開いておきます。スマート自治会 森次茂広さん

貯水タンク蛇口にホース

津市は小学校45校で校舎の受水槽に蛇口を直接取り付け、災害時に飲み水として利用できるようにしています。給水車が道路渋滞でスムーズに動けないことを想定してのことで、県下初の試みで全国的にも珍しいようです。

市内全校で約800トンの容量を受水槽で確保。8万9千人の3日分の飲み水になるといいいます。一人当たり9リットル、1日3リットルという計算になります。2トンの給水車で住民に直接水を配ると、約650人にいきわたるまで2時間もかかります。給水車が学校の受水槽に補給すれば10分で済みます。車を他の場所に回せます。


市水道総務課の丸田隆史さん(28)は熊本地震に応援に派遣されましたが、給水車が渋滞に阻まれた経験があります。派遣先の小学校で給水を待つ人の列ができたが「1家族3リットルしか配れず、非常につらかった。受水槽を有効活用してもらえば」と話しています。朝日新聞(2018.1.20)三重版


当団地の飲料水は、高野にある浄水場からポンプで当地の貯水タンク(約8000トン)に送り、各戸に供給されています。ただ、停電でポンプが使えなくなると、貯水タンクに残っている水だけになります。

貯水タンクに蛇口が5つついています。地震で水道が止まったとき、フェンス越しに飲み水として利用できるようにしてもらいました。8000トンを800戸で使えるとなると一戸当たり10トン。断水は1か月続くとしても1日333リットルもつかえる計算です。

さすがにそれはないでしょう。近隣には倍以上の戸数があります。これをどのようにつかうのか近隣自治会と水道課との話し合いになると思います。

備蓄食料の入れ替え

アルファ米などの食料は賞味期限があります。自主防災会が廃棄寸前の食料引き換えられるチケットを配布します。食料の仕分けはボランティアにお任せします。そしてほしい人に保管倉庫まで取りに来てもらうのです。

工業団地と助け合って減災

市内有数の工業団地が広がる企業でも災害対策の検討が始まっていると思います。企業同士で助け合って減災に挑もとしている一方で不安の声もあるでしょう。団地では、全社が参加する防災連絡協議会ができ、災害時に助け合う「事業継続計画」作成をめざして取り組んでいるだろうと思います。

気象庁が異常な現象が確認された場合、情報発信をしていますが、地震発生の数秒前という現実があり、判断するのは難しいと思います。

自治会自主防災会の取り組み

川に近いところでも標高が高いところがあります。これは長年の土砂の堆積でできた自然堤防です。浸水しにくいので、人々は古くからこの高台に住んできました。こういう土地の歴史を知ることで水害の可能性を推測できます。

当地区は高台にあり、貯水タンクもあることから津波発生時には海岸部から人々が避難してくることが予想されます。混乱を防ぐために、避難所となる小学校の屋上に無線中継所を置き、地区内の各エリアの拠点となる集会所と無線でやり取りする仕組みを作らなければなりません。避難所運営訓練も必要です。

空き家・公園を活用した野菜作り

当団地には空き家が目立つようになりました。所有者は雑草に頭を悩ますことでしょう。そこで、草刈りをするかわりに庭を借りて野菜作りをします。ミニトマト、ゴーヤ、キュウリなどは、料理せずに食べられます。

当団地には公園が12もあります。少子化であそふ子どもがいなくなった公園もあります。ここを市から一部を借り受けて「野菜畑」にします。大根・サツマイモなど植えれば災害時に食料として住民に配布できます。

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