2019年5月22日水曜日

通学・放課後 子どもの安全は「見えにくい所」「危険な場所」を避ける

通学・放課後 子ども安全は「見えにくい所」避ける
通学・放課後 子どもの安全

小学校に入ると、登下校中や放課後に子どもだけで過ごすことが多くなります。また、共働きの家庭が増え、少子化で子どが一人で行動せざるをえない場面も増えています。事件に巻き込まれないためにはどうすればいいのか。


目次

犯罪学が専門の小宮信夫・立正大教授は「危険な場所(景色)を挙げて注意を呼びかけます。犯罪者の多くは場所を選んで犯行に及ぶため、その条件を知っておけば犯罪を防ぐことに繋がるとおっしゃっています。。

1.具体的には、「入り易く見えにくい場所」


家、お店、会社などの窓がほとんど見えない道
  1. 高い壁に囲われた自転車置き場、建物の外階段や屋上
  2. ガードレールや植え込みで隔てられていない歩道(車に乗せられやすい)
「見えにくい」は物理的な見えにくさに加え、人の目がない、もしくは、あっても見ているとは限らないという心理的な見えにくさも含みます。

「入りやすい場所」とは、だれもが簡単に標的に近づけて、そこから簡単に出られる逃げられる場所です。

「見えにくい場所」とは、誰の目から見ても、そこでの様子をつかむことが難しい場所です。視線が集まりにくい場所、つまり周りに家がない田んぼ道などです。


どんなところですか?

田んぼ道

田畑が続く道は、物理的には見えやすいが、人の目がないという意味では見えにくいですね。ショッピングセンターや地域の行事などは、人の目が多いものの、犯罪者や子どもが目立ちにくいという意味で、やはり見えにくい場所です。犯行の対象者を探す場になりえます。

心理面も考える

落書きトンネル


管理が行き届いておらず秩序感が薄い場所です。不法投棄された粗大ごみが放置された場所や落書きの多いトンネルなどです。

家電量販店


不特定多数の人が集まる場所も問題です。量販店などは買い物客でにぎわいますが、こうした場所では、注意が分散するとともに、援助も人任せになってしまいます。つまり人が多いほど、事件に気づきにくく、気づいても「自分が助けなければ」と思いにくくなるのです。


「不審者に注意」はダメ

子どもは不審者を見分けられないので、 大人全員を疑いの目で見るようになります。子どもを守るには地域のつながりが不可欠なのに逆効果です。

犯罪者は景色を見ながら犯行を始めるかどうかを決めるように、私たちも景色を見ながら警戒すべきかどうかを決めればいいのです。

2.「知らない人と話してはいけない」か

面識がない人と口を利かない子より、堂々と話す子の方が被害を防げると考えます。幼い子を狙った連れ去りは無理やり実行するのではなく、優しく話しかけてだますようなケースが多いからです。

例えば、「お母さんが病院にいるから行こう」と声をかけられた時、「どこの病院?」「どんなけが?」と聞いて相手がしどろもどろになるようなら、おかしいと気付けます。逆に、イエスかノーしか言えないと、犯人のシナリオ通りに事を運ばれる恐れがあります。

知らない人とも話せる力があれば、例えば、電車通学の途中で災害にあう、といった非常時にも助けになります。誰とでも普通に挨拶や話をすればいい。ただ、中には悪い人がいることを伝え、「入り易く見えにくい場所」で近づいた人は要警戒、対応を切り替えられるようにしておくことです。

子どもに対して「危ないよ」といった「返事を求めない声掛け」はまだしも、子どもの個人情報にかかわることで、例えば「〇〇小学校の子?」と話しかけことで返事を求めるような声掛けには注意が必要です。

3.大人はどうすればいいですか?

子どもと道を歩きながら、見慣れた景色を診断してみて下さい。大事なのは答えを示すことではなく、子どもが「ここはどうだろう?」と考えれることです。いざという時に逃げ込む「こども110番の家」がある地域も多いですが、「ここへいくんだよ」と教えると、子どもは懸命に探そうとします。それより、すぐそばの大人や家に助けを求めた方がいいと思います。


4.子ども見守り活動

自治会が募集をしてメンバー表を作成し市に提出。市は自治会に活動の依頼をし保険を掛ける。学校は、児童の下校時刻表を配布する。PTAとこの見守りボランティアとの接点は一切無い。活動そのものへの参加は自由。行かなくても咎められることはありません。

見守り隊として組織化し、メンバーの中から責任者を決め、市や学校との窓口、また募集・集計、メンバー表作成、市への提出等やるというのが本来の姿ではないか。

毎朝通学路に立って「おはよう」と声を掛けます。教育は学校と家庭でやるのだから、余計なことはいわないというのではなく、大きな声で呼びかけます。すると、「どぶに家の鍵を落とした」とか「おじさん、昨日休んだけどどうしたの」と話しかけてくるものです。

いつもは声をかけても返事をしない6年生の男の子から、手紙とお菓子をもらうこともあります。手紙には「いつも通学路を守ってくれてありがとうございます。これからも後輩たちをよろしくお願いします」とありました。

5.大声を出せない時の防犯ブザー

集団登校をしていれば、他の子どもたちの目がありますが、やはり子供がひとりきりになった時が問題です。不審者もひとりでいる子供を狙っています。

大声を出せない時に役立つのが防犯ブザーです。電池切れにきをつけて日ごろからチェックしておき、子どもがひとりで行動するときには必ず持ち歩くように徹底しましょう。

6.”突然”の前に気づこう不審者に

こちらが先に気づいていれば「突然、声を掛けさせない」ことができます。つまり「突然話しかけられた」というのは、こちらが相手に気づいていなかったから、なのです。子どもが気づくまえに不審者が目をつけている、とうことをよく考えましょう。

通りを歩くときには、まず姿勢を良くして顔を上げて前方をよく見ます。曲がり角では左右をよく見て、必ず後ろを振り返りましょう。自分に近づく人、車、バイク、自転車などに早く気が付けば、状況判断ができて安全な行動がとれます。

安全な歩き方を保護者がまず身につけて子どもに伝えましょう。

7.地域安全マップ

犯罪が起こりやすい場所を風景写真を使って解説した地図です。誰もが入りやすい場所と誰からも見えにくい場所を洗い出したものです。犯罪者は地図を見ながら犯行場所を探しているわけではなく、景色を見ながら犯行を始めるかどうかを決めています。

マップには必ず、撮影した写真を、撮影した理由をつけて一緒に乗せます。外見上の識別が困難な不審者を無理やり見つけようとすると、外見上の特徴が異なる人を不審者だと思うようになります。これはダメです。

引用:「犯罪は予測できる」小宮信夫(新潮新書)


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