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管理組合の解散と清算 |
管理組合は建物、敷地と附属施設を管理する団体(区分所有法第3条)なので、建物があるうちは団体として区分所有者全員により自動的に構成されます。
標準管理規約では管理組合は定義されておらず、組合員の資格は区分所有者である(第30条)と規定されているだけです。
管理組合が消滅するのは、建物が滅失すれば管理すべき共用部分も無くなるため、団体としての管理組合は無くなります。というのも法人が解散したら清算法人になりますので義務は清算法人に引き継がれます。
管理組合の解散に伴い、それまで積み立てられてきた修繕積立金をどのように精算するかを検討することが必要です。
CONTENTS
1.修繕積立金の精算
管理組合を解散する際は、修繕積立金の精算を目的とした解散集会を開催します。修繕積立金の精算は、解散決議をした時点での区分所有者に分配するのが一般的です。過去に積み立てはしていたものの解散決議の時点で区分所有者ではなくなっている人に分配する必要はありません。また、解散決議の時点で区分所有者であれば、たとえ解散反対者だったとしても配分をするのが適当です。
配分は区分所有法第19条の「共用部分の負担及び利益収取」にのっとり、各住戸の持分により分担されます。
配分は区分所有法第19条の「共用部分の負担及び利益収取」にのっとり、各住戸の持分により分担されます。
解散した管理組合法人は、清算の目的の範囲内において、その清算の結了に至るまではなお存続するものとみなされます(法55条の2)。
- 「建物の全部の滅失」
- 「建物に専有部分がなくなったこと」
- 「区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数」の「集会の決議」によって解散します。
ただし、①②による解散の場合と③による解散の場合とでは事務処理が違います。
①建物自体がなくなれば、管理の対象物がなくなるので、管理組合法人を存続させる意味がなくなり、管理組合法人は解散します。当該管理組合は「無償で市へ譲る」のでこの時点で解散し法人格のない管理組合として存続しません。
②また、共用部分が滅失した場合も同様です。管理組合法人は、「第3条に規定する団体」を法人化したものですから、専有部分がなくなれば、「第3条に規定する団体」として存続しえなくなり、管理組合法人も解散します。
②また、共用部分が滅失した場合も同様です。管理組合法人は、「第3条に規定する団体」を法人化したものですから、専有部分がなくなれば、「第3条に規定する団体」として存続しえなくなり、管理組合法人も解散します。
③による解散の場合、区分所有者の多数が法人化を望まなくなった以上、解散します。
なお、この集会の決議は、「法人」を解散するという決議であって、法人としては解散するので、清算手続は必要となります。「管理組合法人」解散後も、清算手続の対象となる管理組合の財産が存在しているからです。
3.清算人の職務等
清算人の職務は、①「現務の結了」、②「債権の取立て及び債務の弁済」、③「残余財産の引渡し」ということになります(法55条の6)。また、清算人は、法55条の7に規定されているように「債権の申出の催告等」を行わなければなりません。
<区分所有法55条の7> (債権の申出の催告等) 第五十五条の七 清算人は、その就職の日から二月以内に、少なくとも三回の公告をもつて、債権者に対し、一定の期間内にその債権の申出をすべき旨の催告をしなければならない。この場合において、その期間は、二月を下ることができない。 2 前項の公告には、債権者がその期間内に申出をしないときは清算から除斥されるべき旨を付記しなければならない。ただし、清算人は、知れている債権者を除斥することができない。 3 清算人は、知れている債権者には、各別にその申出の催告をしなければならない。 4 第一項の公告は、官報に掲載してする。 |
法55条の7第1項の期間の経過後に申出をした債権者(知れている債権者を除く)は、「管理組合法人の債務が完済された後まだ権利の帰属すべき者に引き渡されていない財産に対してのみ、請求をすることができる」ということになります(法55条の8)。
清算から除斥される債権者も想定できますが、現実的にはほぼ「知られている債権者」(法55条の7第2項ただし書)に当たるものと思われます。仮に清算から除斥された債権者であっても、法53条[注3]に基づく各区分所有者への請求まで否定されるものではありません。
したがって、債権者側からすれば、管理組合法人の清算手続において債権回収できなかったとしても、法53条に基づき各区分所有者へ請求する方法が残されているということになります。
区分所有者の責任については、株式会社における株主の責任や一般社団法人における社員の責任とは異なる性格を有していますので注意します
区分所有者の責任については、株式会社における株主の責任や一般社団法人における社員の責任とは異なる性格を有していますので注意します
4.清算手続終了後の残余財産
管理組合法人の残余財産については、「規約に別段の定めがある場合を除いて、(法)第14条に定める割合と同一の割合で各区分所有者に帰属する」と定められています(法56条)。団体(法3条)が消滅している場合には、残余財産を各区分所有者に分割帰属させてもよいのですが、法55条1項3号の解散の場合には、前述したように法3条に定める団体すなわち「建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体」が存続しています。
そのため、管理組合法人の残余財産については法3条の団体(法人格なき社団)に帰属するとした上で、各区分所有者からの分割請求を否定的に解すべきです。集会決議による解散の場合の残余財産の帰属については、管理組合法人の規約に定めておいた方がよいです。
5.あとがき
管理の運営と規約が一致してないのは問題です。国土交通省が定める標準管理規約というのにあわせて規約を変更していくのがいいと思います。標準管理規約は様々な問題について、いつまでに、どこで、どのように対処するかが明記され、どんな問題でも公平に判断できる基準ですので、これに沿った形での設定を考えます。
管理組合を民主的に運営し役員がしっかりと役割を果たすことです。少なくとも理事会の役員は選挙で選び、運営も管理会社まかせはやめます。
管理費を数か月間組合員に還元してはどうかという意見があります。管理組合規約にそのような明確な規定がなければ、その旨を盛り込む必要があります。具体的には管理費は排水設備補修工事用に充当するという規定です。そのため総会の特別決議で規約を改正します。
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